本社等重要拠点の機能の確保
災害時には、対策を検討・指揮するため、災害対策本部長および幹部社員等が集合する場所が必要ですが、本社、あるいは支店、支社などの重要な拠点が被災した場合に備え、あらかじめどのような場合にはどこに集合し、どの業務を継続するかを決めておく必要があります。
本社等の重要拠点の機能の確保に関し、事業継続計画を検討する際に十分に考慮すべき点を例示します。
被災地での業務の再開以外に、非被災地での業務の継続も検討。(例えば、被災地以外の拠点や工場に指揮命令権を移すなど)なお、被災地以外に拠点を移すことの検討は必須ではありませんが、その検討をせずに利害関係者の理解が得られるかを慎重に考慮する必要があります。
遠隔地の文書・電子データ保存サービスの活用
時差を考慮する。(日本が休日・夜間であっても海外は営業時間であることもあるため海外への情報発信が必要)
自治体等の各種制度や防災隣組の機能など、地域の資源を活用する。
|
対外的な情報発信および情報共有
災害発生後は、取引先、消費者、従業員、株主、市民、自治体などと情報を共有することが重要です。企業活動が関係者から見えなくなる、何をしているのか全然わからないといった、いわゆるブラックアウトを防ぐための対策を講じる必要があります。
そのためにも、関係者との事前の協議が重要です。
中堅中小企業でも取引先企業やサプライチェーンの発注者への情報提供が必要です。
対外的な情報発信および情報共有に関し、事業継続計画を検討する際に十分に考慮すべき点を例示します
情報収集・伝達、広報体制の確立
関係当局、周辺住民、サプライチェーン等の関係者との連絡体制の構築
通信・情報連絡手段の確保
|
情報システムのバックアップ
情報システムは事業を支える重要なインフラです。必要な情報のバックアップを取得し、同じ災害で同時に被災しない場所に保存することはもとより、特に重要な業務を支える情報システムについては、バックアップシステムの整備が必要です。また、災害時の事業継続計画の実践時においては、重要な業務のみを先行して実施するため、災害対応が落ち着き、いよいよ全面復旧へ向け、代替設備・手段から平常運用へ切り替える際に、通常業務に必要なデータの欠落や不整合による障害が発生するおそれがあります。これらを防ぐための詳細な復帰計画をあらかじめ策定しておく必要がある。
情報システムのバックアップに関し、事業継続計画を検討する際に十分に考慮すべき点を例示します。
守るべき重要業務と情報システムの関係の明確化
バックアップ稼働・切り替え計画、復帰計画の策定
自家発電装置、電源や回線など各種設備の二重化対策の実施
遠隔地の文書・電子データ保存サービスの活用 |
製品・サービスの供給
現在は、部品から完成品まで1つの製品を1社のみ単独で製作するのはまれです。
したがって、原材料の供給、部品の供給、輸送、生産、販売などに携わる複数の企業(サプライチェーン)の中のどこかが被災すると、その製品は市場に提供されないことになります。このことは、事業継続計画が自社だけで完結しなくなっていることを意味してます。したがって、平時から自社に関連のある企業の事業継続に関する情報を集めるとともに、自社の事業継続計画の現状についてあらかじめ取引先に理解を求めておくことも重要です。
製品・サービスの供給が行われている状態とは、製品についていえば、工場の早期復旧、代替生産の実施、OEMその他の他社工場での生産など、何らかの形で生産が継続されればよく、また、在庫を活用し製品を供給できればそれでもよい。工場が被災すると生産の再開には時間がかかるが、事業継続の手段が無いわけではありません。
製品・サービスの供給関係に関し、事業継続計画を検討する際に十分に考慮すべき点を例示します。
被災工場を早期復旧する以外に、被災地以外の工場・拠点で代替生産を実施することも検討する。
部品や材料の供給元となる会社の被災状況予想の把握、それら会社の代替性の確保、あるいはそれら会社と協力して事業継続計画を作成することなどが重要である。
サプライチェーン発注元・発注先の協力をあらかじめ得ておく。(特に、拠点が分散していない場合)
OEMの実施・同業他社との応援協定を利用する。(特に、拠点が分散していない場合)
適正在庫の考え方の見直し。(特に、代替品のない1社のみが生産している部品材料の場合) |